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不妊症を考える

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不妊症を考える

現在の日本では、夫婦の6組に1組が不妊で悩んでおり、不妊はとても身近な問題になっています。 NHKで2012年2月にクローズアップ現代で、「産みたいのに産めない、卵子老化の衝撃」という番組が放送されました。

その中で、初めて、36歳頃から卵子の老化が始まり妊娠しにくくなることが一般の人々にも少しずつ知られるようになりました。

それまでは、40歳を過ぎても健康であればいつでも妊娠できると考えたり、自然な妊娠が無理でも現代医学は進歩しているので不妊治療を受ければ40歳を過ぎても簡単に妊娠できると漠然と思っていた女性が多かったのではないかと思われます。

しかし、実際は日本産科婦人科学会の調べで2010年の体外受精で子供が生まれた割合は35歳で16.3%、40歳で7.7%、45歳で0.6%でしかありません。

一般的に病院で行われる不妊治療は初めにタイミング療法、次に人工授精と進み、これでも妊娠できない時は体外受精または、顕微授精を受けることになります。

不妊治療は、病気ではないとのことで健康保険を使うことができません。費用は、全国の平均でおよそタイミング療法と人工授精は15,000~20,000円で、体外受精は40万円、顕微授精は50万円くらいになります。

国や県の助成金制度もありますがその額は十分とは言えませんし、治療回数の制限や夫婦の所得による制限もあります。そのため、体外受精を受けたくても人工授精で我慢しなければならない方もいらっしゃいますし、体外受精を受けられた方でも、何回もできる人は限られてくるように思います。

このように経済的な負担も大きいのですが、その他にも不妊治療を続ける中で患者さんが多く訴えられることは、治療の成果が出ないことによる精神的負担、特に体外受精を受けた後の、妊娠への期待と不安、そして着床しなかった時のショックは本当に辛く悲しいものです。

また、高額な治療費を支払うためには仕事を持たなければなりませんが、治療のために、どうしても遅刻や欠勤が多くなります。職場や、周囲の理解があればよいのですが、たいていの場合は仕事と治療の板挟みになり大きな心身の負担を抱えることになります。

さらに治療においても排卵誘発剤の注射で体調を崩すこともあり、産科の診察台に上がることへの抵抗感もなかなか抜けないようです。治療をしていることを知らないとはいえ周囲の人々や医療関係者の態度や言動により精神的に傷ついた経験を涙ながらにお話になる方も多くいらっしゃいます。

不妊治療をしていることを友人や、親にも内緒にしていることが多く、医師も多忙で時間が無いために、落ち着いて会話ができません。中には、悩みを相談できる人がいないので苦しみを抱え込んでしまい抑うつ状態に陥ってしまう方も少なくありません。

このように、不妊治療は、女性に多くの負担がかかっています。

しかし、WHOの調べによると女性のみに不妊の原因がある割合は41%、他方男性のみに原因が見つかったのは24%、男女双方に見つかった場合は24%、原因不明が11%、つまり、男性側に原因がある場合もかなりの割合になります。

不妊の原因の半数は男性側にもあるということは日本以外の先進国では常識となっています。しかし、我が国の男性は、もし自分に原因があったらとの恐れかプライドが許さないのか、検査や治療にも消極的な人が多いようです。

子作りは夫婦の共同作業ですから不妊治療にも夫の妻への理解といたわりが必要なのですが残念ながら妻のほうに多くの負担が強いられているのが現実のようです。

東洋医学の鍼灸の観点から不妊を考える

私の治療室では不妊で通院されている方の多くが婦人科での治療と併用されておられ、鍼灸のみの方は少数です。

不妊で通院されている人の多くが、首や肩のこりや足腰の冷えも訴えられますので、それらの治療も併せて行なうことになります。

そんな中で、私は以下のことを念頭に置きながら施術を行っております。(普段は使われない言葉もあり、解りにくい部分はご容赦ください)

東洋医学では、受胎により、父母両性から受け継いだ生命力を先天の原気と言います。これは、生き抜く力であり、生殖・繁殖の基となる生命力のことです。

これに対して誕生後母乳や飲食物から作られる生命力を後天の原気と言います。

私は、夫婦共に現代医学的に生殖器に異常はないのに妊娠しないのは先天の原気が十分にその機能を発揮できていないからと考えています。

そこで、脉診により適切な経穴(ツボ)に刺鍼することにより、先天の原気のはたらきが強められ妊娠し易い体質へと改善が図られます。

また、子宮や卵巣など骨盤内の血流が停滞し、冷えを起こしていることも不妊の原因と考えています。 ですから、腰や、お腹の軟弱で凹んでいたり、冷えている部に痛みを与えないようにごく浅めの鍼をしたり、温かみを感じたら取り去るような施灸を繰り返しますと、次第に骨盤の中が温まり卵巣や子宮のはたらきが良くなるものと考えています。

当院は、わが子を抱きしめたいと望み不妊治療を続けておられる患者さんの願いをかなえるお手伝いが少しでもできればと思っております。

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